たまには新しめの話題作を読んでみよう!
ってことでちょっと前に直木賞受賞が発表された嶋津輝さんの「カフェーの帰り道」を読みましたっ

カフェーの帰り道は大正~昭和、上野にあるちょっと冴えない「カフェー西行」で働く個性豊かな女給たちが生き生きと描かれる群像劇
それぞれちょっとずつカラーが違うお話が5つあったけど、どれも良かったよ~
ステキな一冊でした!

ってことで今回はカフェーの帰り道の感想やらあれやこれを綴ります
一部ネタバレありますのでご注意ください


「カフェーの帰り道」のここが気になるー


まずは私がカフェーの帰り道を読み進めていくうち気になって検索した事柄を紹介してみまーす!

竹久夢二の絵とは

カフェー西行で働く女給のひとりタイ子
「竹久夢二の絵」美人画の女性に似ていることから人気者になるわけですが・・

“竹久夢二の美人画って確かあの感じだよな”
と検索してみたらまさに“あの感じ”の検索結果が表示された


大正ロマンを代表する芸術と大衆受けを兼ねた作風で多くの美人画を描いた竹久夢二さん
この時代の女性を象徴する美人画は「大正の浮世絵」とも言われています

アッパッパって何だ?

作中誰かが着ていた”アッパッパ”
気になったね~
アッパッパは大正から昭和によく着られていた夏用の木綿のワンピースのことだってー!
画像検索してみたら最近っぽいものもけっこう出てきた、そんな呼び名の服があるの知らなかったよ私

令和のアッパッパが自分で縫える!
型紙付きの本が主婦の友社より出ていました


ボリューム袖を付け足した進化系デザインのアッパッパとか載っててオシャレ!
この本買う〜夏までに好みの布見つけて縫う〜♪わくわく~♪

だから“純喫茶”なのか!!

これは調べたことではなく気づいたこと

今カフェと言ったら主に“お茶する”ところですよね
あとは乙女たちが話に花を咲かせたり知的な文化人が文庫本を広げたり・・まあどこもオシャレなイメージ

この時代の“カフェー”は今のカフェとはちょっと違うんですね
お酒も扱っててわりと夜遅くまで開いているうえ男性客が多く、お気に入りの女給とお話してチップも渡す・・そんな今でいうキャバクラみたいな要素もあったと

このお話に出てくる「カフェー西行」は健全店だけど、お店によっては摘発されるような接客内容のグレーorブラックなところもあったみたいですね

エピソードごとに時代がちょっとずつ進んでいく中でカフェー西行は“純喫茶・西行”と名前が変わるわけですが・・
ここで私はなぜ喫茶に”純”がついているのかやっっっと知ったというね
そんな私今年44歳w
世の中知らぬことはまだまだあるね!

「カフェーの帰り道」
感想・好きなエピソード・印象に残った言葉など

男性作家さんかと思って読み始めちゃった

あまり情報を入れずに読みたいなってこともあったんですが、著者の嶋津輝さん・・無知な私は名前を見て男性作家かと思い(宮本輝さんみたいなイメージでね)読みはじめるもすぐに間違いに気づいた

柔らかい文体に女性の細やかな心境の描かれ方、骨格や肌など人物の特徴の描写も視点が女性のものだなとわかりますよね

「出戻りセイ」で向井がセイの魅力を引き出すためにアドバイスをするエピソードでは顕著で”これを書けるのはオシャレ好きでヘアメイクに関して研究好きな人なんだろうな~”って思った
で、のちに初めて見た直木賞受賞のコメントをされている嶋津さんの姿は予想通り!オシャレショートが似合う素敵な女性でした
やはり!

序盤の掴みが完璧!「稲子とカフェー」

最初の「稲子とカフェー」から惹きこまれましたね~

ドキドキそわそわしながら慣れないカフェーの扉を開ける稲子
その美貌と魅力に本人も多くの世の人もまだ気づかずくすぶっているタイ子
年齢も境遇も違うこの二人がお互いをそれぞれ”素敵な女性”だと感じる・・特に言わないけど・・
そんなふたりの距離と関係がよかったな~

一話読み終え何だかあたたかい気持ちになりつつ・・この本はいいものだぞ!と気づくよね

特に好きなエピソードは「うそつき美登里」

どのエピソードもそれぞれ良くて好きなんですが私は特に「うそつき美登里」がめっちゃ好き!
美登里も園子もいいキャラだしこのふたりの関係もまたいいよね
ちょっとスカッと系の要素もある

ずっと引きこもっていた園子さん
冒険の扉を開けて幸せを掴んだその行動に拍手喝采です

その後の「幾子のお土産」では若い幾子ちゃんに古株美登里さんはいろんな嘘をついているであろうことにピンときてしまう我々読者はクスっとなるよね
”幾子ちゃんたぶんそれ騙されてる騙されてる・・・w”

菊田さんの奥さんとなっているけどアレも嘘?
そこには触れられておらず・・真相はいかに・・

この言葉が刺さったー

カフェー西行の客・理髪師の向井の言葉からいい刺激を受けました~

気に入っていないものを着ていると自信がなくなる。あんたの態度にどこか卑屈さが垣間見えるのはそのせいさ

「カフェーの帰り道」 嶋津輝


あまり似合っていない、若い頃に買った銘仙を着続けているセイへの言葉です

私はこのお話の中で近い環境の人物と言ったら最初の話に出てくる稲子さん
四十がらみの彼女です
歳も近いし関わる人ってファミリーな親世代ばかり・・

若い頃みたいな服欲も薄れているし今の時期選ぶ服は防寒第一だし、ちょっとこれはダメだなと反省した
自分のためにオシャレしよう!って思いました

・・読んでて思った、私骨格とか顔立ちがセイと同じタイプなんだよね~
だからここで出てきた「二百三高地髷」の進化系とバキッとした柄の着物が似合うんだろうな
てか二百三高地髷って・・名前がもう物々しいというか物騒というか・・いかにもキツそう強そうな印象だよねw

避けては通れぬ戦争の話

昭和初期といったら大きな戦争があった時代
カフェー西行の女給たちも恋人が息子が兄が徴兵される・・
それを見送り帰りを待ちつづける女性の心境を読むのはつらく悲しいですね

最後の「幾子のお土産」では戦後から5年経ったお話で家族を亡くしふさぎ込む母の姿は痛々しく悲しいんだけど、希望の光が差していてよかった・・!
タバコ吸ってむせてそれでも吸い続ける父母・・
これ好きだな~いいお話だよ

んでタイ子さんってやっぱりかっこいい存在だな、ともなるよね

「カフェーの帰り道」読んでいる中で私の頭ではNHKの朝ドラのあの感じが出てきました
(朝ドラって戦争の話題を必ず出すとか決まりごとがあるの?私が見たものは全部出てきている)
ちょっと前に再放送が終わった「とと姉ちゃん」思い出すなーっと何気なく参考文献を見たら”暮らしの手帖”があった!
そうだよねその時代だよね

100年前・・今の常識が全くなかったり真逆だったりした時代
読んでいてぎょっとすることもあって勉強になったな
女性は28歳で定年退職せねばならない、そんな制度を導入している大企業がたくさんあった、とかさ・・

私の場合は祖父母が若い頃の時代のお話
大変な時代を逞しく生きる女給たちから何だかあたたかいふんわりとした素敵なお土産をもらえた感覚でした
元気になったよありがとう

ぜひ読んでみてくださーい!

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